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本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

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サマサマ手帳 農園たや

本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

サマサマ(sama sama)はインドネシア語で「どういたしまして」や「お互いさま」といった思いやりを表す温かい言葉です。

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ビジネスプランの第7ステップ 投資のペイオフマトリックス

  • サマサマ手帳 農園たや
  • 記事執筆者 : 田谷 徹

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帰国後のビジネスを成功させるために、実習生にビジネスプランを作成してもらう取り組みをしています。(参照「ビジネスプランの10ステップ」
今回は、その第7ステップについてお伝えしたいと思います。

第7ステップ=投資のペイオフマトリックス

実習生は日本で働く3年間で、頑張れば150~200万円のお金を貯めることができます。これが帰国後にビジネスを興すための資金となります。限られた資金を有効に活用するためには、どこに投資すべきかの優先順位を決めておくことが大切です。

そこで、この第7ステップでは、先の第6ステップで分析したビジネスストラクチャーの内部要因(「知識・経験」「設備」「資金」)について、ペイオフマトリックスを作成してそれぞれ投資する優先順位をつけていきます。

ペイオフマトリックスとは?

ペイオフマトリックスとは、戦略や投資のアイデアを2つの基準で評価して、さまざまな意思決定をサポートするためのツールとして活用されます。
ここでは、縦軸に「導入のしやすさ」、横軸に「効果」を用いて投資の優先順位を可視化します。

ペイオフマトリックス

内部要因「知識・経験」の例

帰国後にインドネシアで日本語教師になり、将来的には自分で日本語学校を開設する、というビジネスで(こういう実習生は分野を問わず結構多いです)、必要な「知識・経験」として次の3つの項目を仮定して、優先順位をつけてみましょう。
① 日本語教師の資格
② 日本語試験合格(N3)
③ 日本語学校開設の政府認可

日本語教師の資格の有無はインドネシアではあまり問われません。日本語試験に合格していた方が有利です。日本語能力試験(JLPT)の「N3」合格に必要な学習時間は“950~1,700時間”と言われていて、取得は容易ではありません。しかし、「N3」を持っていれば、日本語学校からは引く手数多で、就職も容易です。
日本語学校の設立には政府からの認可が必要になります。認可のためには必要な資格が多く、ハードルは高いですが、認可を得ることができれば日本語学校への道筋が立ちます。

これらをペイオフマトリックスで表すと次のようになり、優先順位は②→③→①となります。

ペイオフマトリックス

内部要因「設備」の例

ここでは野菜を栽培して市場で販売するビジネスの輸送のための「設備」を考えてみます。
① トラック
② 乗用車
③ バイク
運搬力(効果)は①>②>③ですが、価格(導入のしやすさ)は③>②>①となります。
ビジネスの規模を考慮して、どうしても必要と考えられる場合はトラックを買えばいいのですが、ここは一度立ち止まって考えたほうがいいかもしれません。資金が有限である一方で、資金を投入すべき項目は他にいくらでもあります。どうしてもトラックが必要でないのならば、バイクの後ろに荷車をつけた車両の導入を検討した方がいいかもしれません。

ペイオフマトリックス

内部要因「資金」の例

実習生がビジネスを始める際の資金源としては、
① 日本で実習生として働いた貯蓄
② 銀行の融資
③ 村の高利貸し(知り合いから借りる場合もこれに含みます)
などが考えられます。
「資金」の場合は「導入のしやすさ」の代わりに「アクセスのしやすさ」を縦軸に用います。
「アクセスのしやすさ」を易しいものから並べると、③→①→②の順に難しくなります。村の高利貸しからは簡単にお金を借りることができますが、銀行からの融資は担保を用意する必要があり容易ではありません。実習生としての貯蓄は、日本で数年間働く必要がありますが、本人の頑張り次第で確実に得ることができるため、この順番にしました。
「効果」を高いものから並べると、①→②→③の順になります。
これは金利の順番です。自分の貯蓄を使っても利息はかかりませんが、銀行の融資を利用すると6%ほどの金利がかかります。村の高利貸しには30%の金利を要求されることもあり、金利を返済するだけで元金が全く減らない借金地獄に陥る可能性も高いです。「アクセスのしやすさ」だけで村の高利貸しを選択するのは危険です。

ペイオフマトリックス

貯蓄をベースに、どうしても資金が足りなければ銀行の融資を利用する、というのが現実的な選択肢になると思いますが、実習生として日本に来るための準備にも時間と資金が必要なことを考慮すると、初めから銀行の融資を利用する方が良い場合もあるかもしれません。

今回は比較的簡単な例を挙げましたが、選択肢の数が多くなると、それぞれの選択肢に一長一短があるため、どれを選ぶべきかの判断はどんどん難しくなります。
ペイオフマトリックスを用いることで、それぞれの選択肢の特徴を視覚的に把握して、効率的に優先順位をつけることができます。

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