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本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

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サマサマ手帳 農園たや

本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

サマサマ(sama sama)はインドネシア語で「どういたしまして」や「お互いさま」といった思いやりを表す温かい言葉です。

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インドネシアの農業高校 ~イベント紹介②卒業編~

  • サマサマ手帳 農園たや
  • 記事執筆者 : 森田 千晴

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今回の記事では、前回の記事(インドネシアの農業高校 ~イベント紹介①~)に続き、私がインドネシアの農業高校で経験した印象的なイベントとして「卒業試験」と「卒業式」をご紹介します。

卒業前の最後の試練!「卒業試験」に挑む高校生

インドネシアの高校には卒業試験があり、学科ごとに政府が定めらた試験に合格しなければ卒業できません。まさに卒業前の最後の試練といえるでしょう。タンジュンサリ農業高校では、試験の公平性を保つために地元の農業関連企業から試験監督を招き、筆記試験と実技試験が実施されました。

私が見学した園芸学科の実技試験では、生徒一人ひとりが1m×2mの畝を立て、マルチ張りや元肥の施し方、さらにはクウシンサイの播種までが課題として出されていました。広い圃場に並ぶ生徒たちが、クワを使って一生懸命に畝立てをしている姿に、思わず「頑張れ!」と応援してしまいました。試験は工程ごとに試験監督がチェックし、アドバイスを受けて作業をやり直す生徒もいましたが、最終的には全員が無事に合格できたようです。

卒業試験・畝立ての様子
▲卒業試験・畝立ての様子
卒業試験・マルチ張りの様子
▲卒業試験・マルチ張りの様子

卒業試験に合格すると、国から合格証明書が発行され、高校で受け取ることができます。この証明書は就職活動時に企業に提出する必要がありますが、タンジュンサリ農業高校では卒業式後、数ヶ月経たないと証明書を受け取ることができません。基本的に在学中は就職活動をしないため、卒業から半年、一年経っても就職していない卒業生も多く見受けられます。証明書を受け取るために久しぶりに母校を訪れる生徒たちは、私服姿でお化粧をしていることもあり、制服姿の時よりずっと大人びて見えます。教員が彼らに「最近はどうしているの?」と懐かしげに話しかけている様子を見て、私もほっこりとした気持ちになりました。

伝統に始まり熱狂に終わる、感動の「卒業式」

卒業試験が終わると、盛大な卒業式が行われます。男性教員はシャツ、男子生徒はジャケット、女性教員と女子生徒はスンダ族の伝統衣装であるクバヤを着用します。女性教員たちはお揃いの布地を購入し、それぞれが馴染みの仕立て屋にオーダーメイドでクバヤを仕立ててもらいます。袖に絞りが入ったものや、レースをあしらったものなど、こだわりのデザインを楽しんでいます。私も同僚教員の案内で初めてクバヤを仕立ててもらいました。仕立て代金はRp. 100,000(約1,000円)と格安で、わずか一週間でサイズもピッタリの素敵なデザインのクバヤが出来上がりました。

女性の伝統衣装クバヤ
▲女性の伝統衣装クバヤ
クバヤの仕立て屋さん
▲クバヤの仕立て屋さん

卒業式当日には大きなテントが張られ、特設ステージが設置されました。屋台がずらりと並び、インドネシアならではの光景が広がります。式典では、校長先生や地域行政関係者の挨拶、合唱部のパフォーマンスなどがあり、日本の卒業式と似た部分もあります。卒業生一人ひとりの名前が呼ばれ、ステージ上で卒業記念品としてメダルが贈られました。中には技能実習生としてすでに日本に出発していた生徒もいて、代わりに両親がステージに上がって記念品を受け取る場面が見られました。

スンダ族の伝統様式によるパレードもプログラムに含まれており、豪華な伝統衣装をまとった在校生たちが卒業生代表とともに会場を厳かに歩く姿が印象的でした。演劇のような演出もあり、とても見ごたえがありました。卒業生代表が校長先生から祝辞を受けて跪くシーンで式はフィナーレを迎えました。

式の後には、卒業生一人ひとりが両親に感謝の気持ちを伝えるプログラムがあり、抱き合って涙を流す親子の姿に感動しました。

卒業式の会場の様子
▲卒業式の会場の様子
校長先生から祝辞を受ける儀式
▲校長先生から祝辞を受ける儀式
両親と抱き合って泣く生徒
▲両親と抱き合って泣く生徒

その後は、ゲストによるバンド演奏に合わせて歌って踊り、大いに盛り上がりました。インドネシアのイベントで定番の“ダンドゥット”というジャンルのダンス歌謡が特に人気で、誰もがリズムに乗って楽しく踊りました。

日本の卒業式とは形式が異なるところもありましたが、卒業の晴れやかな気持ちと少しの寂しさが入り混じったムードは共通していると感じました。私と卒業生の関わりは一年に満たない短い期間でしたが、インドネシア語でのコミュニケーションに苦労しながらも、共に成長してきたという実感があります。彼らと出会いに感謝し、これからの彼らの前途が幸多きものとなるよう願うばかりです。

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