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本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

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サマサマ手帳 農園たや

本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

サマサマ(sama sama)はインドネシア語で「どういたしまして」や「お互いさま」といった思いやりを表す温かい言葉です。

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ゴミにまつわるカルチャーショック

  • サマサマ手帳 農園たや
  • 記事執筆者 : 森田 千晴

サマサマ手帳

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生活

技能実習生が日本での生活で直面する問題の一つに「ゴミの分別」があります。インドネシア育ちの実習生と日本育ちの私たちとでは、ゴミの処分に対する認識がかなり違うのかもしれません。この記事では、私がインドネシアで実際に生活して体感したことをご紹介します。

実習生のゴミ捨て問題

技能実習生が日本での生活で直面する問題の一つに「ゴミの分別」があります。ルールに従わず地域住民とトラブルになったという事例を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
農園たやには男子寮と女子寮があります。実習生を長年受け入れてきた男子寮では、日本人スタッフが特に教えなくても、先輩実習生が後輩実習生に分別方法を指導するようになっています。まだ2代しか実習生を受け入れていない女子寮では、自治体が配布しているイラスト付きの分別表を貼り出し、日本人スタッフが実物を見せながら説明することで分別方法を学んでもらっています。
自治体によって、英語をはじめ、インドネシア語を含むさまざまな外国語に翻訳された分別表がダウンロードできるようになっています。

【参考】福井市 ごみの分け方・出し方早見表 英語版l
https://www.city.fukui.lg.jp/kurasi/kankyo/kgomi/gomile_d/fil/eigo.pdf

実習生にとって日本のゴミの分別の仕方はとても難しいらしく、説明をした後でも間違った分別で捨てられているゴミを見つけることが度々ありました。また、分別はできていてもプラスチック容器を洗わずに出してしまう、などのミスも見られます。休憩中にお菓子の袋をポイ捨てしようとしているところを注意したこともありますし、もしかして彼らは「いいかげんな人」なのかしらと思ったこともありました。
しかし、私自身がインドネシアで暮らしてみると、その認識は間違いであると分かりました。

ゴミにまつわるカルチャーショック

私は2023年11月現在、青年海外協力隊としてインドネシアの西ジャワ州に派遣されています。日常生活の中で、日本とインドネシアの文化の違いに驚くことが多々ありますが、最も大きなカルチャーショックの一つがゴミの分別とポイ捨てに対する意識の違いでした。

  1. インドネシアでのゴミの分別

    私が住んでいる地域は農村部なのですが、驚いたことに、自治体や業者による家庭ゴミの回収は行われていません。その代わりに、庭先で各家庭のゴミが燃やされているのをよく見かけます。
    配属先の農業高校には、「オーガニック(落ち葉や食べ残しなど)」「ノンオーガニック(紙ごみ、プラスチック、ペットボトルなど)」「危険ゴミ(電球など)」の3つに分類されたゴミ入れが設置されています。「オーガニック」はコンポストに利用するつもりのようですが、ゴミ入れを覗いてみると、いろんな種類のゴミがごちゃ混ぜに捨てられていて、分別らしい分別はされていないように見えます。(しかも、故意なのかどうかは分かりませんが、私が写真を撮った時には火が燻っていて煙が上がっていました!)紙ゴミとペットボトルを同じ「ノンオーガニック」のゴミ入れに捨てることに、私はどうしようもない違和感を感じてしまいます。「分別しなければいけない」という義務感や「分別していない」という罪悪感というよりも、日本の生活で当然の習慣として身に染みついた感覚なのだと思います。
    首都のジャカルタに住む知人の話によると、ゴミ回収サービスが運営されている都市部であっても、集合住宅に設置されているゴミ箱にはあらゆる生活ゴミが入れられていて、分別の習慣はないとのことでした。

    農業高校のゴミ入れ
    ▲農業高校のゴミ入れ
    農業高校のゴミを焼いている
    ▲農業高校のゴミを焼いている様子
  2. インドネシアでのゴミのポイ捨てに対する意識

    8月に町の広場で独立記念日のイベントがありました。地区ごとに仮装をして通りを練り歩いたり、広場でビンゴ大会をしたりと大いに盛り上がりました。イベントの途中で周りを見渡すと、驚くほど大量のゴミが散乱していました。その多くは屋台などで提供される食べ物の容器や包装袋です。(ちなみに、このようなポイ捨ては配属先の高校でもよく見られます。)会場の人々は地面に落ちたゴミが全く気にならない様子で、イベントはそのまま進行していきましたが、私はどうにも気持ちが落ち着きませんでした。数日後に広場を訪れてみると、地面に落ちていたゴミはすでに片付けられていました。どうやら清掃員がイベント終了後に拾ってくれることを前提にポイ捨てがされていたようです。
    農村部を訪れた際には、元々は住宅街を流れる川だったと思われる小さな谷が家庭ゴミで埋まってしまっている光景を目にしました。地域住民のゴミ捨て場になっているようでした。
    『ゴミをポイ捨てしてはいけない』という私の常識は、ここでは通じないのだと驚きました。

    街の広場
    ▲街の広場:散らばるゴミ
    家庭ごみで埋まる街の川
    ▲家庭ごみで埋まる街の川

現在、ゴミ処理機能の不足やポイ捨ての常態化はインドネシア国内でも問題視されはじめています。それに伴い、行政や企業による新しいゴミ処理技術の導入や環境教育の観点に立った改善プロジェクトが多数はじまっています。

ゴミにまつわる社会規範の違い

以上のように、インドネシアではゴミの捨て方に関する習慣や意識が日本とは大きく異なっていることを日々感じています。このような状況は、インドネシアの人々が「いいかげんな人」だから生じているのでしょうか?いいえ。決してそうではありません。ゴミの回収や処理といった公共サービスが機能していないこと、環境教育が十分に行われていないことなどを含め、ゴミを捨てることにまつわる社会規範の違いが背景としてあると感じます。無論、実習生は日本で生活している以上、日本のゴミ捨てルールに従うべきだと思います。しかし、日本とはゴミにまつわるルールもマナーも大きく異なるインドネシアから来た彼らが、複雑なゴミの分別法を覚え、ポイ捨ての全く許されない生活に慣れることは、私たちが思うよりもハードルの高いことなのかもしれません。
ゴミの分別、ゴミの捨て方については、私たちと実習生の常識とが必ずしも一致しないことを理解した上で、丁寧にサポートをしていくことが大切だと思います。リサイクルするペットボトルや空き瓶、空き缶はきれいに洗って出す、などの細かいルールはきちんと伝える必要がありますし、家電ゴミや粗大ゴミなど、捨てる頻度が低いゴミの捨て方は、やはりその都度説明する必要があります。

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