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本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

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サマサマ手帳 農園たや

本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

サマサマ(sama sama)はインドネシア語で「どういたしまして」や「お互いさま」といった思いやりを表す温かい言葉です。

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日本とインドネシアの「香り」の文化

  • サマサマ手帳 農園たや
  • 記事執筆者 : 森田 千晴

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インドネシア人実習生との共同生活や業務を通じて、「香り」に対する認識の違いを感じることがあります。

「香り」や「におい」の感覚は非常に個人的なものですが、その背景には文化の違いも影響しているようです。

今回の記事では、インドネシアと日本の「香り」をめぐる文化の違いを紹介しながら、もし「香り」をめぐって摩擦が生じてしまったときに、どのように和らげていけるのかを考えてみたいと思います。

インドネシアでは「香らせる」ことがマナー

私がインドネシアで生活していたとき、銀色の瓶が並んでいる小さなお店を町のいたるところで見かけ、「何を売っているのだろう」と不思議に思っていました。

後から知ったのですが、それは香水ショップでした。

街の通りには香水店が必ず一軒はあるように感じました。それほど、インドネシアでは香水を使うことが日常に根付いているのです。
高温多湿な気候のインドネシアでは、汗をかきやすいため、「自分の体臭に気を遣うべき」という感覚が非常に強いそうです。
そのため、老若男女を問わず香水やフレグランスを使う人が多く、香りを身にまとうことを身だしなみの一部と考える人が多いようです。

また、ルームフレグランスなど、空間用の芳香剤も香りが強いものが多いと感じます。ホテルやショッピングモールのエレベーター内など、おもてなしの姿勢を示したい場所には、壁掛けのディフューザーが設置されていることも少なくありません。
インドネシアでビジネスをしている友人は、出張してくる日本人クライアント向けのホテルを選ぶ際、芳香剤が強すぎない場所を選ぶのに苦労していると話していました。

香水店
▲インドネシアの香水ショップ
壁に設置されている人感型フレグランスディフューザー
▲壁に設置されている人感型フレグランスディフューザー
エアコンから出る風をいい匂いにする吊り下げ型芳香剤
▲エアコンから出る風をいい匂いにする吊り下げ型芳香剤

日本とインドネシアの「清潔観」の違い

日本では、「無臭」であることや、香水や芳香剤を使う場合でも「かすかに香る」程度に抑えることがマナーとされる傾向があります。
そのため、強い香りに対して「周囲への配慮が足りない」と感じる人が多いのではないでしょうか。

しかし、インドネシアをはじめとする文化圏では、逆に無臭であることが「体臭や生活臭のケアをしていない」という印象につながる場合があります。

つまり、日本人が「香りが強すぎる」と感じている場合でも、本人にとっては「周囲に不快感を与えないために最善を尽くしている」可能性があるのです。
香りが強いことを「周囲への配慮がない」と解釈することは、日本文化的な文脈に基づく感覚と言えるかもしれません。インドネシア的な感覚では、むしろ「マナーを守り、人をもてなそうとしている」と受け取られることが多いようです。

インドネシア独特の「丁子たばこ」文化

インドネシアの喫煙率は各年齢層で約30%程度と現在の日本に比べると高いと言われています。農村部では、たばこの生産や加工が重要な産業にもなっています。

そして、インドネシアの香り文化を語るうえで欠かせないのが、「クレテック」と呼ばれる丁子(クローブ)たばこです。
甘くスパイシーな香りが特徴で、日本の一般的なたばことはかなり印象が異なります。初めて嗅ぐ人の中には、「お香」や「香水」のように感じ、すぐにはたばこだと気づかない人もいます。
しかし、インドネシアではこの香りは非常に身近で、生活や文化、さらにはアイデンティティにも結びついた存在です。

日本で働く実習生の中にも、インドネシアから持ち込んだ丁子たばこを愛煙しているという人が少なくありません。

インドネシアのたばこ、クレテック
▲インドネシアのたばこ、クレテック
紙でたばこの葉と丁字を包んでクレテックを作る様子
▲紙でたばこの葉と丁字を包んでクレテックを作る様子

「香り」が摩擦を生むこともある

人は、慣れ親しんだにおいに対して安心感や帰属意識を抱きやすい一方で、自分が慣れていないにおいを「異臭」として認識しやすいと言われています。
つまり、あなたが違和感を覚えた香りでも、相手にとっては

・故郷を思い出す香り
・落ち着く香り
・身だしなみとして必要な香り

であるかもしれません。

もし、実習生が好む香水やルームフレグランス、たばこなどの香りを、「自分たちが慣れないから」「好みに合わないから」という理由だけで一方的に禁止してしまえば、実習生の不満が募る可能性があります。
さらに、異文化の中で生活するうえで「心の支え」となっていたものを失ったような喪失感につながることも考えられます。

私たちもまた「異質なにおい」を発している

一方で、私たち日本人が発しているにおいも、インドネシアの人々にとっては「慣れないにおい」である可能性を忘れてはいけません。

日本で生活した経験のあるインドネシア人数名に、日本で印象的だったにおいについて聞いてみました。

●お線香

嫌いではなかったけれど、母国では嗅いだことのないにおいだったので、「日本といえばこのにおい」という印象になった。

●日本人の体臭

インドネシア人の一般的な体臭とは異なり、カビ臭さと酸っぱさの中間のように感じた。

●発酵食品

日本で働いていたとき、同室で生活していた実習生が納豆や味噌を好んで食べていたが、「苦手なにおいだな」と感じていた。直接文句を言ったことはなかったけれど。

日本では日常的な香りも、インドネシア人にとっては強く印象に残るものだったようです。
自分たちにとって自然なものが、別の文化圏では異質に感じられるーーそうした現象は、お互いに生じています。
今回、インドネシアの香り文化を紹介したのは、そうした「文化の相対性」を知るきっかけになってほしいと思ったからです。

我慢ではなく「共有」が大切

とはいえ、同じ空間で長時間一緒に働いたり生活したりする中で、相手の好みに合わせ続け、自分だけが我慢をするという状態は健全ではありません。
だからこそ、お互いが快適に過ごせる落としどころを探すことが大切です。
たとえば、

・個人への注意ではなく、職場全体のルールとして伝える
・「日本では無臭に近い状態が好まれる」という文化的背景を説明する
・香水を控える場面や場所を限定する

といった伝え方であれば、相手も受け入れやすくなります。
異文化を持つ人同士が協働する際には、「自分にとっての普通」が相手にとっても普通とは限らない、という視点を持つことが、摩擦を減らし、より良い関係づくりにつながっていくのではないでしょうか。

参考:
SATライブラリ https://www.sat.co.jp/library/smell/73
インドネシア総合研究所 https://x.gd/WHtYP
日本石鹸洗剤工業会 https://jsda.org/w/06_clage/4clean_254-1.html

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