インドネシアにはたくさんの揚げ物グルメがあり、自宅で揚げ物調理をすることも多いです。このような食文化ゆえに、実習生の使用済み油の処理方法を巡ってトラブルとなるケースがあります。実習生に、日本での使用済み揚げ油の処理方法を説明して、トラブルを回避しましょう。
外国人実習生と油のトラブル
外国人実習生が使用済みの食用油を流し台やトイレに流してしまい、トラブルになるケースが報告されています。こうした問題の背景には、インドネシアの食文化や油の処理に関する常識の違いがあるようです。
あらゆる食材を揚げるインドネシアの食文化
「揚げ物が多い」というのは、私がインドネシアに来て最も驚いたことの一つです。
「インドネシアグルメ探訪 ~西ジャワ州の農業高校編~」でも紹介したように、朝食から揚げ物を食べることも珍しくありません。ご飯のおかずとして、揚げ鶏や揚げ魚が頻繁に食卓に登場するほか、屋台で売られている軽食にも多彩な揚げ物が揃っています。
たとえば、バナナに衣をつけて揚げた「ピサンゴレン」、キャベツやニンジンの千切りをかき揚げのように揚げた「バラバラ」、厚揚げ豆腐にもやしなどの具を詰めて揚げた「タフイシ」、キャッサバやサツマイモなど──あらゆる食材が揚げ物として売られています。
私のお気に入りは、片栗粉とタピオカ粉を混ぜたもちもちの生地を揚げ、甘辛ソースをかけて食べる「チレン」です。
さらに、インドネシアには「クルプック」と呼ばれるエビを原料にした揚げせんべいを添える習慣もあります。クルプックは平たいお椀型をしていることが多く、ご飯やおかずをのせてパリパリとした食感を楽しんだり、汁物に浸して食べたりします。
こうした揚げ物文化が発展した背景には、中国から伝わった食文化の影響や、冷蔵庫や流し台のない屋台で食材を提供する必要性などがあると、個人的には考察しています。
日本で「農園たや」の実習生と共同生活をしていた際、大きなボトルの油をわずか数週間から1か月で使い切ってしまうことに驚いた経験がありましたが、インドネシアでの暮らしを通じて、油を多用する食文化なのだとようやく腑に落ちました。
「油は下水に流さない」は世界共通の常識ではない!?
一方で、少量であれば下水に流してしまう人もおり、農村部では自宅の庭で家庭ごみを燃やす際に、油を一緒に投入することもあると聞きます。
興味深いことに、欧米諸国においても「油の捨て方の違いに驚いた」という日本人の体験談がインターネット上に数多く見受けられます。
日本では、凝固剤で固めたり古紙に吸わせたりして「可燃ごみ」として捨てることが一般的で、「油を下水に流すと配管の故障につながる」というのは常識のように思われていますが、実はそれが世界標準とは限らないのかもしれません。
実習生への生活指導には動画コンテンツを活用しよう
実習生に油の適切な捨て方を教える際には、凝固剤の使い方や古紙で油を吸い取る方法を実演しながら説明すると効果的です。
しかし、実際に揚げ物をしている現場に立ち会えるとは限りません。そうした場合には、YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツの活用がおすすめです。
「日本で生活する外国人あるある」といったジャンルには、多くの動画がアップされています。「日本 油 捨て方」などのキーワードで検索して見つかる動画を活用することで、実習生も具体的なイメージを持って理解しやすくなるのではないでしょうか。