外国人材を受け入れる際に、家電や家具を含めた生活環境をどこまで整えるべきかについては、以前の記事「初めて外国人材を受け入れる方へ 生活準備編」でご紹介しました。
外国人材のための家電・家具費用は請求できるのか?
外国人材を受け入れる際に、家電や家具を含めた生活環境をどこまで整えるべきかについては、以前の記事「初めて外国人材を受け入れる方へ 生活準備編」でご紹介しました。
この際、家電や家具などを一通りそろえると、それなりの出費になります。また、日本人スタッフにはこのような家電や家具を用意していないため、外国人材だけに無償で提供することは逆差別になるのではないか、という意見もあります。そのため、「これらの費用をリース料やレンタル料として請求できないか?」というご相談をよくいただきます。今回は、この点について解説します。
リース・レンタル料は請求できるのか?
結論から言えば、「基本的には可能」です。
ただし、賃料によって利益を得ることは避けるべきであり、取得費用の減価償却分を一つの目安にするのが適切でしょう。
例えば、冷蔵庫を12万円で購入し、実習生にリースした場合を考えてみます。冷蔵庫の法定耐用年数は6年ですので、6年間は年間2万円の減価償却費の範囲内でリース料を設定することが目安となります。しかし、6年を経過した場合、実際にはまだ十分に使用可能であっても、原則として費用請求は難しくなります。
賃料設定をおすすめしない理由
しかしながら、私は家電や家具に対して賃料を設定することは、あまりおすすめしていません。理由は、実習生間のトラブルにつながりやすいためです。
先ほどの冷蔵庫の例では、最初に利用した実習生は賃料を支払いますが、6年後に来た後輩には支払いが発生しません。
雇用期間が重ならなければ問題は起きにくいものの、同時期に在籍する場合は、「支払った世代」と「支払っていない世代」との間で不公平感が生じ、トラブルに発展する可能性があります。
特に共同使用の場合、賃料を支払った側が優先使用や所有権を主張して、後から来た実習生が使わせてもらえないといったトラブルも起こり得ます。
実際に起きているトラブル
さらに、減価償却相当額の賃料を支払った実習生が、「自分のものだ」と解釈し、家電や家具を転売してしまうケースも報告されています。
従来の技能実習制度では転職は少ない傾向にありましたが、特定技能や育成就労では転職が一般的に起こり得ます。そのため、転職時に「貸与していた家電や家具を持ち出された」「転売された」といったトラブルも実際に発生しています。
こういったリスクを防ぐためにも、必ず賃貸借契約書を締結し、所有権が受け入れ側にあることを明確にしておきましょう。
代替案:第三者のリース・レンタルの活用
費用負担のバランスを取る方法としては、第三者のリース会社やレンタル会社の活用が考えられます。
この方法であれば、
といったメリットがあります。
ただし、この場合でも転売防止の観点から、賃貸借契約書は必ず締結してください。
また、リース料やレンタル料が高額すぎる場合、実習生の負担が大きくなり、離職の原因となる可能性があります。
そのため、
といった配慮が必要です。
負担の感じ方には個人差があるため、一律ではなく、個別に対応していくことが大切です。
まとめ
家電や家具の費用は一定の条件下で請求可能ですが、トラブルのリスクも伴います。
制度として可能かどうかだけでなく、「現場で円滑に運用できるか」という視点を持つことが重要です。
費用回収と人材定着のバランスを考えながら、自社にとって最適な方法を選択していきましょう。
